医学は日々進歩しております。また季節的に流行する病気もございます。このコラムでは皆様方に医学的な最新情報、お役に立てる内容を定期的に提供していきたいと思います。

 

■なぜインフルエンザワクチンを接種するのか

  平成22年度より新型インフルエンザ(H1N1)と従来よりの季節性インフルエンザ(A香港およびB型)の3種類混合ワクチンとなります。

インフルエンザは感染後1〜2日の潜伏期の後に38度以上の発熱をもって突然発症し、初期には頭痛、はげしい全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などの強い全身症状を示すことが特徴です。後からせき、痰などの呼吸器症状が現れて、若い健康な成人の場合でも数日の間寝込まざるを得ない状態が続きますが、通常は1週間以内に回復します。
 高齢者・幼児・妊婦の方や腎臓病・糖尿病・癌を含めた免疫が落ちている人、もともと・気管支喘息・肺気腫などの呼吸器疾患をお持ちの方にとって重大な被害を及ぼす恐れがあります。
 数年前の大流行以来、公共の援助が受けられるようになり、高齢者の接種率は非常に上昇していますが、流行時期になりますと、予防接種を受けていない多くの小学生から中年の方が発熱で病院の救急外来を受診しています。ひとり暮らしの若い方で動けなくなってしまうため救急車を呼び急患室を受診する人もいます。

SARSとインフルエンザワクチン
 最近中国を中心に猛威をふるったSARSはインフルエンザとおなじくウイルス感染症で肺が広範囲に破壊されることにより命を落とすこともある恐ろしい病気です。困ったことにSARSの初期症状とインフルエンザの初期症状は非常に似ており区別が難しいのです。残念ながらインフルエンザワクチンは直接SARSを予防することはできませんがインフルエンザワクチンを接種していればインフルエンザでない可能性が強く、SARSの早期診断に役立ちます。このため航空会社では乗務員にインフルエンザの予防接種を義務づけております。

接種する時期・回数
 ワクチンが十分効果を維持できる期間は接種後約2週間後から約4から5ヶ月とされており、過去の状況から考えて一般的に10月

初旬より12月上旬ごろに行われるのが望ましいとかんがえられます。(ただし昨年は11月に一部で流行がありました。)
 回数については65歳以上の方・毎年ワクチンを接種している13歳以上の方は追加免疫として1回で十分といわれています。インフルエンザワクチン接種が初めての方、幼少児は1〜4週あけて2回接種が勧められています。(米国では1回です)

副作用(副反応)について
 重大な副作用としてごくまれにショック・アナフィラキシー様症状(蕁麻疹・呼吸困難・血管浮腫など)があらわれることがあり、そのほとんどは接種後30分以内に生じています。その他、けいれん、脳脊髄炎などの神経症状が出現する疾患の報告があります。
 その他に軽いものとして過敏症(接種直後から数日中に発疹、発赤かゆみ)、全身症状(発熱、悪寒、頭痛、倦怠感):通常2〜3日で消失します。

予防接種を当日、見合わせた方がよい場合
1.接種当日、明らかな発熱(37.5℃以上)を呈している方。
2.重篤な急性疾患にかかっている方。
3.インフルエンザワクチンによってアレルギー反応を起こしたことがある方。

インフルエンザの診断と治療・・・・実際インフルエンザにかかった場合
 最近インフルエンザにかかっているかどうか調べられる迅速キットが普及してきており、当院でも簡単かつ素早く診断が可能です。
 タミフルなどの有効なインフルエンザウイルスを抑える薬が用いることができるようになったことにより、治療が以前に比べ容易にはなってきましたが、発病後48時間以内に開始しないと効力が少ないため、治療が遅れますと自分の治りが遅くなるだけでなく周囲の方にもインフルエンザがうつる可能性が高いのです。

■Q&A(よくある質問)

Q. 予防接種当日の入浴はやめたほうがよいですか?
A.  接種後1時間を経過すれば入浴は差し支えありません。
  
Q. 飲酒はどうですか
A.  過激な運動、大量の飲酒はそれ自体で体調の変化をきたす恐れがあるため接種後24時間は避けてください。

Q. ワクチン接種したのに風邪をひくことはありますか?
A. 十分にありえます。いわゆる風邪はインフルエンザ以外のウイルス(パラインフルエンザ・ライノウイルス)によるものもあり、この場合当然インフルエンザワクチンは効果がありません。


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