睡眠時無呼吸症候群 (無呼吸の原因・検査・治療)
こんな症状ありませんか?
上記の質問に3つ以上当てはまった方は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
かかりつけ医にご相談の上、睡眠時無呼吸障害医療施設での確定診断を受けることをお薦めします。
睡眠時無呼吸症候群とは?
皆様は快適な睡眠がとることができていますか。いびきがうるさい、寝つきが悪い、苦しくて途中で目が覚める、夜中に何回もトイレによく起きる、何時間寝ても寝たりない、昼間いつも眠い、集中力がない、目覚めの時にのどが異常に渇くなどでお困りの方は多いと思います。これらの症状に該当する方は睡眠呼吸障害を起こしている可能性があります。特に家族等の同居人の睡眠を妨げるような大きないびきをかく人の7割に睡眠時無呼吸(以下単に無呼吸)があると言われています。しかし独り暮らしの方は気付いていない場合も多くいびき以外の上記症状が発見の手掛かりとなります。無呼吸の患者数は日本人の200万人以上と決して珍しい病気ではありません。
日常生活においては無呼吸はいねむり運転による重大事故を誘発したり、眠気による仕事のミスの原因となり、有名な新幹線事件では運転手が重症の無呼吸と診断されるなど無呼吸は社会問題化しています。更に強調すべき点として無呼吸自体が高血圧、心筋梗塞、脳卒中や糖尿病など生活習慣病と深い関係にあることです。放置すればこれらの生活習慣病が悪化するだけでなく、最悪の場合突然死を引き起こす可能性が大きいのです。
無呼吸の原因
最も多い閉塞型の無呼吸については解剖学的に気道が狭い方が睡眠時に気道の周囲の筋肉が緩み舌がのどに落ち込むなどして、更に狭まってしまうことによります。 特に日本人はその骨格の特徴から欧米人に比べていびきをしていて、無呼吸になりやすいと言われています。すなわち少し太っただけでも無呼吸になりやすいのです。生まれつき舌の大きい方、扁桃腺(へんとうせん)の大きい方や太っている方は気道の周囲に脂肪がつき気道を圧迫して無呼吸を起こしやすくなります。また首が短く太い人も同様です。ただしやせていてもあごが小さい人は気道が解剖学的に閉塞しやすく要注意です。
無呼吸の検査
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問診
いびきがうるさい、寝つきが悪い、苦しくて途中で目が覚める、夜中に何回もトイレによく起きる、何時間寝ても寝たりない、昼間いつも眠い、集中力がない、目覚めの時にのどが異常に渇く等の無呼吸特有の症状をチェックします。
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診察
顎の形、首の状態、扁桃の肥大、舌の大きさ、咽頭の状態等をチェックします。また血圧等や血管年齢(指で簡単に検査可能)も調べます。
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血液・尿検査
無呼吸の方はコレステロール・中性脂肪値や尿酸値が高い方がほとんどです。また糖尿病を合併している方も多いためこれらの生活習慣病の有無を調べます。また先端肥大症(成長ホルモンの過剰分泌)や甲状腺疾患等のホルモン異常も無呼吸の原因となりますのでこれらを血液検査で発見する必要があります。
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確定診断
終夜ポリグラフ検査で行います。忙しい方は入院しないでご自宅でできる簡易方式もあります。費用は保険適用となり3割負担の場合は2,500円となります。簡易検査では当クリニックより機器をお貸しして(ウオークマン程度の大きさです)していただき、自宅で一晩体に装着することで簡単に検査できます。この器械はいびきの有無、無呼吸の有無や無呼吸による血液中の酸素濃度の低下を記録が可能です(器械貸出は予約制)。 また簡易検査ではっきりしない場合には睡眠センターに入院していただき脳波等も含めたより詳しい検査が必要となる場合もあります。
無呼吸の治療
無呼吸の治療は軽症の場合はマウスピースを作ることで対処できますが多くは睡眠時にマスクを装着して持続式陽圧呼吸療法;CPAP(シーパップ)の器械を自宅に設置します。器械は小型化が進んでおり海外旅行等でも簡単に持ち運びが可能です。また気になる治療費用につきましては、シーパップの器械はレンタル式で保険適用となり費用は3割負担の場合月々約4500円となります。
適切な治療により快適な睡眠を取り戻すのは勿論のこと、仕事の効率は上がり、生活習慣病に関しては血圧の薬を内服しなくても血圧が正常になったり、血糖値が下がったり、心不全が改善するなどの効果があります。